カーネギー・ホール・コンサート- キース・ジャレット

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2005年、カーネギー・ホールにおけるピアノ・ソロ・コンサート。キース・ジャレット自身、ニューヨーク・タイムスやキーボード誌などでこのアルバムについて雄弁に語っていることからも、自信の程が伺える。

ライブでキースの演奏が熱を帯びるのに合わせて聴衆も熱狂していく様子が伝わってくる。特にアンコールでは聴衆の長い拍手や、キースのMC(というほどのものではないが…)まで入っていて、面白い。

前作「レイディアンス」からキースは、比較的短いソロをいくつも演奏するようになったが、本作はそのスタイルが更に完成度の高いものとして結実していると感じた。

Disc1、特にPart1は、長い道のりの始まりで、手探りで色々やっているような感じだ。決して聴いていて心地いいものではない。Part3など、所々極めて美しい旋律が奏でられ、純粋に聴き入ってしまうのだが、中には「???」てな感じの曲もあるというのが正直なところ。

Disc2の方がより面白いと感じた。やはりコンサート後半の方が気持ちがノッてきたのではないか???

Part6では急速なパッセージを弾きまくるかと思えば、Part7では急にJ-POPにもでてくるんじゃないかというような分かりやすいポップな曲を演奏する。続くPart8では、しっとりとしたバラード。キースの幅広い音楽性をたっぷり味わえる。聴き手の意表をついてるんじゃないだろうか、と思えるような進行が面白い。まあ、「意表をつき、観客の気持ちを引き付ける」のが意図だとすれば、これもある意味「必然的な進行」なのかもしれない。

5曲にわたるアンコールが又素晴らしい。特にGood Americaは、キースのロマンティシズムの極地とでもいえそうなほどに美しい。その他、70年代のキースのオリジナル曲や、ブルース、スタンダードなど、これまたヴァラエティーに富んだ内容だ。

ピアノ・ソロでこれだけ広い世界を見せてくれる人はこの人しかいないだろう。