Arvo Pärt: Fratres- Tamas Benedek

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独特の音世界によって聴く者を魅了するエストニアの作曲家、アルヴォ・ペルト(1935~)。旋律、リズム、ハーモニー、どれをとっても実にシンプルであるが、この人にしかない響きが素晴らしい。鐘が鳴り響くような独自の世界は「ティンティナリズム様式」といわれる。

このCDではそんなペルトの代表曲「フラトレス」の様々なヴァージョンを聴き比べることができる。個人的には、「チェロとピアノ」と「ストリングス」のヴァージョンが好きだ。旋律をたどれば、「ド♯レ ミ ファ ソ ラ シ♭ ド♯」でしかないのに、それが強烈な音楽になるのだから、すごい。

「フラトレス」以外にも、最後の「ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌」がまた素晴らしい。これも旋律をたどれば「ラ ラソ ラソファ ラソファミ・・・」というように単純な下降音形でしかない。しかし、各パートの旋律のズレによって、非常に忘れがたい世界を作り出す。

これほど単純な音形でこんなに魅力的な世界をつくり出すとは・・・とてつもない作曲家だ。