Haydn: String Quartets Op. 54, Nos. 1- 3 Kodaly Quartet

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今回は作品54-3の解説を掲載します。軽やかで、ヴァイオリンの自由に飛翔するかのように駆け巡る感じがいいですね。ヴァイオリニストから依頼されて作ったという作品です。以下の内容は、また後日、書き換えるかもしれません。

ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809):《弦楽四重奏曲》ホ長調 作品54-3 Hob.Ⅲ-59
1788年頃に作曲されたとされる本作品は、エステルハージ侯爵家の楽団にいたヨハン・トスト(ヴァイオリニスト、実業家。楽団では第2ヴァイオリンを担当、後に軍需品の政府納入によって財をなした)から依頼を受けて、ハイドンが作曲したものである。
トストは楽団を去ってパリに行く際、パリでの演奏のために宮廷楽長ハイドンに交響曲と弦楽四重奏曲の作曲を依頼した。ハイドンはこの依頼に応えて「第88番」「第89番」の交響曲、それに本作品を含む作品54・55(計6曲)の弦楽四重奏を作曲、更にトストにパリでの楽譜の出版権も与えたという。このような経緯から、作品54・55の6曲は合わせて「第1トスト四重奏曲」と呼ばれている。
曲はヴァイオリニストからの依頼ということを意識して作られたからか、全体を通して第1ヴァイオリンのパートに技巧的な箇所が多くみられる。明るく、軽やかな響きが魅力の佳作である。
第1楽章 アレグロ、ホ長調、2分の2拍子、ソナタ形式。第2ヴァイオリン・ヴィオラと第1ヴァイオリンが対話しているかのような愛らしい主題で曲は始まる。推移部に出てくる3連符のモチーフは、展開部においてより華やかに発展し、盛り上がりを見せる。 
第2楽章 ラルゴ・カンタービレ、イ長調、4分の3拍子、3部形式。上2声と下2声の対話で曲が始まる、美しい楽章。ゆったりとしたテンポのなか、装飾的な旋律が軽やかに奏される。イ短調の中間部では、下3声部の楽器は完全に伴奏に徹し、第1ヴァイオリンが64分音符の息の長い装飾的で即興的な旋律を奏でる。
第3楽章 メヌエット・アレグレット、ホ長調、4分の3拍子、3部形式。軽快な符点リズムが印象的な、活気あふれるメヌエット。ユニゾンで始まる中間部(トリオ)のモチーフは変形されて続く終楽章の主題に使用されていると見ていいだろう。
第4楽章 フィナーレ・プレスト、ホ長調、4分の2拍子、ロンド・ソナタ形式。第2ヴァイオリンが主旋律を担い始まる急速なフィナーレ。第1ヴァイオリンの幅の広い跳躍が際立つ。コーダの部分で、突如短調の暗い響きが出現し、反復進行を経ながら主調に戻る部分は、聴き手の意表をつくハイドンならではの見事な手法。
(2011年4月21日、文:CD-ROG.com)