MENDELSSOHN, Felix: String Quartets, Vol. 1 (New Zealand String Quartet) – String Quartets Nos. 1, 4, 6

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今回は、演奏の内容ではなく、《弦楽四重奏曲 第6番》についての簡単な解説を記します。別のところで執筆する機会があったもので。 CDは、この演奏の、最も安く良質な音源の1つということで。

フェーリクス・メンデルスゾーン=バルトルディ(1809-47):《弦楽四重奏曲 第6番》 ヘ短調 作品80
 フェーリクス・メンデルスゾーン最後の弦楽四重奏曲であるこの作品は、作曲者の死の2か月前に完成された。晩年の非常に高度な境地に達したメンデルスゾーンの作曲技法が全体を通して感じられる傑作である。

1847年5月14日、演奏会のリハーサルで指揮をしていた姉・ファニーは突然倒れ、その日のうちに脳からの多量の出血で他界した。ファニーの死は夫のヴィルヘルム・ヘンゼルにとっても大きな衝撃だったが、それ以上に衝撃を受けたのが弟のフェーリクスである。最愛の姉を失ったショックはあまりに大きく、フェーリクスは悲しみのため、しばらくは作曲活動も含め、何もする気が起きなかったという。7月、彼はようやく気を取り直して筆を執り、その2ヶ月後、9年ぶりとなる弦楽四重奏曲を完成させた。これが作品80である。これまでのメンデルスゾーンの軽く、流麗な書法とは著しく異なるこの作品は、周囲の人々を驚かせたという。曲は全体を通して心を掻き毟られるかのように激しく、緊迫感、不安感や悲痛に満ちており、聴き手の心を強く揺さぶる。 

このようにして姉の死から何とか立ち直り、創作活動を再開したフェーリクスだが、彼自身、姉の死によるショックからだろうか、すっかり体力と気力が衰えていた。作品完成から2ヶ月後の11月4日、彼もまた一族の遺伝病とされる脳卒中ため、ライプツィヒで38歳9カ月の短い生涯を閉じたのである。

第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ、アッサイ、ヘ短調、2分の2拍子。ソナタ形式。トレモロ奏法を効果的に使用した、不安や怒りを感じさせる第1主題で曲は始まる。展開部では、提示部に出現した対位法的な楽句を元に発展し、次第に緊張を高めて紅潮する。簡潔な再現部を経て、コーダでは更に速度と激しさを増しながら圧倒的なクライマックスを築く。

第2楽章:アレグロ・アッサイ、ヘ短調、4分の3拍子。3部形式。楽譜に明記されてはいないが、テンポの速い3拍子のスケルツォ楽章である。シンコペーション、半音階的上行音型が切迫した雰囲気を醸し出す。中間部は低音楽器が主導し、暗く、不安な響きを醸し出す。

第3楽章:アダージョ、変イ長調、4分の2拍子。作品中唯一の長調で書かれた楽章ではあるが、底抜けの明るさではなく、物悲しさが漂う。まるでファニーとの楽しかった日々を回想し、一時的に悲しみを癒そうとしているかのようだ。

第4楽章:アレグロ・モルト、ヘ短調、4分の2拍子、ソナタ形式。再び曲冒頭の激しい世界が戻ってくる。トレモロ、シンコペーションなどにより、不安や情熱といった感情が表現される。冒頭の第1主題のシンコペーションの音型は楽章全体に渡って対位法的に扱われる。

   

カツァリス- ショパン:ピアノ・ソナタ(全3曲)

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このアルバムは、普段演奏されることが少ないショパンのピアノ・ソナタ第1番作品4も含め、ショパンのピアノ・ソナタ全曲が入っているということが価値がある。ベートーヴェン:交響曲、ピアノ独奏版の演奏で注目を集めた名手・カツァリスの鮮やかな技巧が冴えわたる。


トゥール:ツァイトラウム タリ(アヌ)

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エルッキ=スヴェン・トゥール(1959- )はエストニアの作曲家。1979-84にかけて”In Spe”というロックバンドを率い、活動していた。「現代音楽」というと何だかなじみにくい印象があるのだが、そんな人もトゥールの音楽は親しめると思う。この作曲家の大きな特徴は、クラシック、ロックなどジャンルを越えて様々な分野の音楽を吸収し、それを自分の作品にうまく反映させているところにあると思う。この作品では特にストリングスの美しい響きが印象的だった。これから色々聴いてみたい作曲家の1人だ。

Clarinet Concerto [Import, From US] – Gerald Finzi (作曲), Howard Griffiths (指揮), Northern Sinfonia (オーケストラ)

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私が「イギリスの作曲家でとくにオススメなのは?」と聞かれたら、まずフィンジを挙げる。超有名曲を作った作曲家となると、ホルストとエルガーが真っ先に上がるが、フィンジの音色、そしてハーモニーにはこれら2人の大作曲家にはない美しさ、聴きやすさがあり、繰り返し聴きたくなる作品ばかりだ。

おそらく作曲技法の観点から見ると「革新的」ではないから、曲の素晴らしさの割には有名でないのだろう。プロモーション次第では、より多くの人々に親しまれると思う。

どの作品もいいが、とりわけ”Romance Op.11″は、この世にこんないい曲があったのかと思った。

Evgeny Kissin – Mozart: Piano Concertos 20 & 27

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キーシンの弾き振り(ピアノと指揮を両方行う)ということで、注目no
1枚。とうとう、アシュケナージがかつてやって領域に入ってきましたか。世界中にはうまいピアニストがたくさんいますが、ここまで順調に大家への道を歩む人も、いないでしょうね。