ニコライ・カプースチン‐自作自演集「8つの演奏会用エチュード」

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ロシアの作曲家・ピアニスト、ニコライ・カプースチン(1937-)の自作自演集。2000年に日本でCDが発売されると瞬く間に話題となり、多くのピアニストが演奏し始めた。

その作風は、楽譜に1つ1つの音符をしっかり書き留めるクラシックの作曲の伝統と、ジャズのリズム、メロディー、ハーモニー、そして即興性が融合した魅力的なものとなっている。作曲家ガンサー・シューラーは1950年代に、クラシックを第1の流れ、ジャズを第2の流れとして、両者が融合を目指す音楽を「サード・ストリーム」(第3の流れ)と呼んだが、カプースチンのこのような作風もピアノ独奏曲における「サード・ストリーム」に位置づけられるだろう。この「サード・ストリーム」はクラシック・ジャズ両ジャンルで主流にはならなかったものの、両ジャンルの「いいとこどり」をしたような大変興味深い音楽が生まれたというのは大きな成果だったといえると思う。

さて、《8つの演奏会用エチュード》作品40は、ショパンやリストなどクラシックの作曲家のエチュード(練習曲)と同様、各曲が特定のテクニックを徹底的に鍛え上げる作品となっている。

《スィート・イン・オールド・スタイル》(古風な様式の組曲)作品28は、バッハなどバロック時代の組曲の形式を踏襲し、カプースチンならではのサウンドを盛り込んだ作品。”ジャズ風バロック舞曲”といった感じだ。

その他の作品も演奏効果高いものばかりで、素晴らしい作品集となっている。演奏は作曲者自身によるもので、とにかくうまい。

演奏効果が高く、クラシック音楽にそれほど親しみがない人でも楽しめる1枚だと思う。ピアノを弾く人は楽譜を買って演奏に挑戦してみるのもよい。ただし、演奏はいずれも困難…

Evgeny Kissin & James Levine: The Carnegie Hall Concert [Import] [from US]

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若き巨匠・キーシンと大指揮者・レヴァインの2台ピアノの共演。2台ピアノといっても、シューベルトの連弾作品を、カーネギーホールで2台のピアノを使用して演奏するというちょっとユニークな試みだ。

作品自体は親しみやすく、大ホールで演奏効果をあげるようなものではない。しかし、2台のピアノで演奏していることにより、非常に豊かな響きを実現している。演奏レヴェルは当然最高のものだ。

家庭用作品でも、奏者が最高であれば大ホールのコンサートで十分通用するということだろう。

テンポは全体的にやや速めか。