ブーニン:東京コンサートライブ

NHK交響楽団との共演。一昔前に繰り返し聴いた記憶がある。

何だか、粗削りなんだけど、ライブならではの熱気が伝わってくる。今の時代、色々編集されている作品ばかりだからこそ、こういう編集基本無しの、生々しい感じがむしろ良かったりもする。

ベルク:叙情組曲、シェーンベルク:浄夜

12音技法の作品は、なかなかとっつきにくい印象があります。やはり、クラシックであれ、ポピュラーであれ、調性音楽は人々の耳に心地良く聴こえ、音がどこへ向かっているのか分かりやすいということがあります。

そんな難しいと思われがちな12音技法ですが、その技法の用い方で響きが違ってきます。12音技法の代表的な作曲家は、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンでしょう。シェーンベルクは12音技法を発明した人。ベルクは調性感を残した12音技法で、独特な官能性を引き出しています。ウェーベルンは、何というか、ポツポツと音を置いていく感じで、正直最もとっつきにくい印象。

このCDは、ベルクの最初の12音技法作品である《叙情組曲》と、シェーンベルクがまだ後期ロマン派の作風で作っていた《浄夜》を収録しており、12音技法や無調音楽に馴染みがない人でも、割と素直に楽しめると思います!

ゲルギエフ:ショスタコーヴィチ 交響曲4〜6番

芸術家も政治とは無関係でいられません。特に20世紀ソヴィエトの作曲家は、スターリン政権による文化芸術の統制のもとでの活動を余儀無くされました。その代表格ともいえるのがショスタコーヴィチ。

斬新な手法が盛り込まれている交響曲第4番。しかしこの曲が完成した1936年に、オペラ《ムツェンスク群のマクベス夫人》が「ブルジョワ的で形式的」と批判を受け、「ヤバイ」と感じたショスタコさんは、第4交響曲の初演を取りやめ、社会主義リアリズムに沿った第5交響曲を書き上げます。

第4交響曲と第5交響曲。この2つの交響曲を聴き比べてみると、「社会主義リアリズム」がどんなものか、ということがわかります。

ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ

ショスタコーヴィチ(1906-75)というと、15の交響曲で有名ですが、ピアノ音楽の分野においても素晴らしい作品を残しています。 その1つ、「24の前奏曲とフーガ」はバッハへのオマージュといえる作品。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」からの影響を受けた古典的な作風ながらも、この作曲家らしい近代的な響きが印象的な、感動的な作品です。

バッハ&ショスタコーヴィチ / プレリュードとフーガ Vol.1

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ショスタコーヴィチ:24のプレリュードとフーガ

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ショスタコーヴィチ : 24のプレリュードとフーガ 作品87

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12音技法

シェーンベルクという作曲家が発明した、12音技法(ドデカフォニー)による音楽というのは、いわゆるハ長調、ト長調といった調性音楽とは異なる技法によって作られた音楽であり、まあいってみれば多くの人が「難解」というイメージを抱く音楽の代表格です。

かいつまんで説明すると、1オクターブの中の半音階全ての音(計12音)を並べる。これを音列といいます。この音列を基本に、反対から並べたり、転回したりしながら、曲を作っていくわけです。同音の反復はOK。

一昔前までは、私も嫌いだったのだが、とある事情で、ハ長調、しかもコードは2つしか出てこないような音楽ばかり聴く機会が多くなり、それはそれでなかなか疲れるのであります。分かりやす過ぎるのも、どうかという。。。その反動としてか、最近、シェーンベルクの音楽やウェーベルンの音楽が、心地よく感じるようになってきました。人間の感覚も、その時おかれた環境によって変わるものですね。

大ざっぱに言ってしまえば、クラシックの古典的なやつとか、ポップス、ジャズなど、世に広まっているメジャーな音楽は表向き違う響きに聴こえますが、根幹の理論はほぼ同じ「機能和声」の法則に従って出来ているわけです。多くの人が調性音楽を心地よく感じるのは、この「機能和声」のため。これらの「調性音楽」に物足りなくなったら、シェーンベルク以降の12音技法による音楽を聞いてみることをお勧めします。楽譜を読める人は、是非楽譜と共に聴いてみて下さい。「メチャクチャ」どころか、物凄く厳格な法則に則って作られていることが分かります。